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青春のすべて(高川 晶)

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掲載:日本経済新聞

「交遊抄」

1960年のデビュー当時から熱心なファンの橋幸夫氏。最も好きなデビュー曲の「潮来笠」をはじめ、ほとんどの曲は三番の歌詞まで暗記するほど入れ込んでいた。そのあこがれの人に知人を通じて出会ったのは、今から八年ほど前になる。

子供のような気持ちで話した”特別な人”は、実は普通の人だった。すごくまじめで、奥さんと家庭を大事にする。芸能人らしくないが、立派な社会人としておつきあいができる人物。すぐに家族ぐるみで親しい関係になった。今では年に二、三回、私の家を訪れるようになっている。

学校法人をはじめ教育事業を展開する当グループで、教育問題に一家言ある橋氏に講演してもらったこともある。やはり当グループで運営しているゴルフ場でプレーもした。阿波銀行の古川武弘頭取や徳島銀行の柿内愼市頭取などゴルフ仲間は数多いが、橋氏の腕前もかなりのものだ。

橋氏のデビュー当時は歌謡曲の地位が今よりずっと高く、ほとんど日本文化とイコールだった時代。いわゆるご三家の筆頭ともいうべき橋氏は私にとっては青春のすべてだった。これからも末永くおつきあいしたいと思っている。

(たかがわ・しょう=タカガワグループ会長)